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家を買おうと思っても、物件探し・住宅ローン・税金・保険……と、わからないことがてんこ盛り。わからないから、不動産会社や銀行などプロに相談しに行くのですが、家を売りたい・お金を貸したい側なので、良い話しか聞くことができません。
でも、物事には良い面も悪い面もあるのが普通で、不動産の世界も同じです。家を買うメリット・デメリットをしっかり把握しないと、後悔しない選択はできないと思います。
「こんな考え方もあるんだ!」と、新たな視点を持たせてくれる本と出会ったのでご紹介します。
- 家を買おうかな、と考えはじめている方
- 消費税増税前には、家を買いたいなと考えている方
- 家賃を支払続けるのは、もったいないと感じている方
に、特におすすめの本です。気になった項目はピックアップしながら、ご紹介していきます。
目次
『マイホームの常識にだまされるな!~知らないと損する新常識80』
『マイホームの常識にだまされるな!~知らないと損する新常識80』をざっくり説明すると、不動産のプロが「不動産業界の常識」について、「ホント」「ウソ」と、新たな常識を提言している本です。
「マイホームを買うべきか、買うならいつ、どんな物件を、どうやって?」といったことに、業者のセールストークに使われる「通説」に対して、プロの視点から「ホント」か「ウソ」かを判定するスタイルになっています。
引用:『マイホームの常識にだまされるな!~知らないと損する新常識80』まえがき
著者は、テレビなどの多くのメディアでも活躍されている、不動産コンサルタント 長嶋修 氏(@nagashimaosamu)。個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を運営されていくなかで、一般消費者がぶつかる不動産の疑問や悩みと向き合っていらっしゃいます。2万4,500件を超えるコンサルティング実績をもとに、この本も執筆されたそうです。
家を売りたい不動産会社ではなく、第三者の立場でお客様と接している長嶋さんだからこそ、この本が書けたのだと思います。
この本を読むうえで、基本となる考え方
この本では「資産価値」という表現がたくさん出てきます。
- 自分が好きな家を買うのに、他人に売るつもりも貸すつもりもない!
- 私はマイホームを購入したいの!不動産投資をしたいわけじゃない!
と、感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これからの住宅購入は、資産価値を重視した「家」の購入を提唱されています。
少子化・高齢化が進む日本で、住宅はすでに800万子近く余っている社会。
「限界集落、東京にも」 高齢化進む多摩ニュータウン|朝日新聞デジタル
これから将来、不動産市場はどのように変化していくのか誰もわかりません。
資産価値が低い家を購入するなら、賃貸生活の方が得!
というお話も本書では出てきます。
今までは、「持ち家」でないと満足できない住環境だった不動産賃貸市場も、社会の変化とともに、大きく変わっていきます。
不動産市場について広くお話を展開されているので、マイホーム購入を検討している方だけでなく、賃貸生活中の方にも役立つ本だと感じました。
それでは、家を購入する方にも、賃貸生活にも特に参考になる箇所をピックアップしてご紹介していきます。
『マイホームの常識にだまされるな!』おすすめ項目
家賃はドブに捨てるようなものだから、買ったほうが得
家を買おうと思ったキッカケで多いのが、「家賃を支払っても、手元に何も残らない」という気持ちではないでしょうか?「賃貸か購入か?」不動産業界でも人気のテーマですが、本書では下記のように紹介されていました。
- 「寿命の短い住宅を買うなら、借りた方がだんぜん得」ということになるわけです。
- 寿命の長い住宅、かつ資産性を保てる住宅を購入できた場合には、どこからどう考えても、「明らかに買った方が得」だという結論になります。
引用:『マイホームの常識にだまされるな!』家賃はドブに捨てるようなものだから、買ったほうが得
マンションの場合、購入費用以外にも管理費や修繕積立金が必要です。一戸建ては、建物の修繕・メンテナンスのため、年あたり建物価格の1%程度(1500万円で建てた住宅は、年あたり15万円程度)の費用がかかります。さらに、住宅の平均寿命が45~55年(木造・RC造ともに)と考えると、将来、建て替え費用も何千万円単位で必要になります。
「家賃か住宅ローン、どっちが得か?」という特集の場合、このような費用がシュミレーション時に算出されていないことが一般的。この費用も考慮したうえで考えていくことが必要、と、書かれていました。
これから不動産市場が大きく変わるなか、賃貸住宅の家賃の価格も変わってくる可能性もあります。損得で住宅を選んだときの「正解」「不正解」は、30年後など長期的視点で考える必要があり、その予測はとても難しいものです。損得は絶対的指標ではなく、自分たちが暮らしやすい家を選択していくことが大切だと感じました。
住宅は増税前に買わないと損
2019年10月に消費税が10%に増税予定です。
どうせ買うなら消費税前にマイホームを購入しておきたくなる気持ちもわかります。
しかし、本書では下記のようにコメントされていました。
増税分を節約しようと思い、むしろあせって変な物件をつかむ方がよほどハイリスクです。
そもそも、新築住宅の場合、消費税は建物にしかかかりません。
総額4000万円の物件(土地・建物2000万円ずつとする)なら、3%の増税分は60万円と、総額のわずか1.5%にすぎないのです。※ 注釈)本書が出版された2013年現在時点では消費税5%時代。2014年に消費税は8%に上がりました。
引用:『マイホームの常識にだまされるな!』住宅は増税前に買わないと損
本書が出版された2013年時点の消費税のお話なので、現在の利率で考えてみると、2018年の消費税8%から2019年10%に増税される場合、2%の増税となり、増税分は40万円となります。
40万円だけにフォーカスすると、大きな数字に見えるかもしれませんが、そもそも、住宅価格は数千万円を超える高価な商品。
値引き交渉も多く行われる不動産売買で、数十万円は誤差の範囲と言っても過言ではありません。
数十万円を節約するために資産価値の低い割高な住宅を購入してしまう方が危険と、著者は警鐘を鳴らします。
不動産は全く同じ物がないからこそ、「早く買わないと!」という圧力がかかりがちです。
「住宅ローンの低金利」「消費税増税前」など、目の前に家を早く買うべき理由を並べられると、つい「今、買わないと損なのか?」と感じてしまうかもしれません。
しかし、大切なことは、自分たちが幸せな暮らしができるか見極めること。
住宅購入は、多く方にとって人生で一番高い買い物です。物件探しだけでなく、住宅ローン、税金、保険など、知っておくべき知識・情報もたくさんあります。
自分たちの準備が整ったベストなタイミングで、住宅購入すべきだな、と、改めて考えさせられました。
低金利は住宅の買いどき
住宅ローンの金利が上がると返済総額も高くなるため、低金利はお得なイメージがあります。
たしかに同じ3000万円を返済期間30年で借りるにしても、金利2%なら月々11万886円の支払いですが、もし5%に上がったら16万1046円と、なんと5万160円もアップします。
総支払額では2%のときに3991万8903円であるのに対し、5%では5797万6735円と、じつに1805万7832円もの差。
どう見ても低金利の方がお得に思えます。しかし、じつはこれはあくまで物事の一面を見たときの真理であることに注意が必要です。
もう一方の面から見れば、全く逆のことが言えます。「金利の上昇は資産価格下落の方向に働く」といった法則があるからです。引用:『マイホームの常識にだまされるな!』低金利は住宅の買いどき
本書でも住宅ローンの金利が2%のときと、5%のときを例に、金利が上がった場合の返済額を比較しています。
金額だけ見たら、確かに住宅ローンの低金利は魅力的ですが、これは視野が狭い見方であるようです。
資産価格、つまり不動産の価値は「次に買う人がいくらで買ってくれるのか」で決まります。
もし、金利が5%になったら、私たちの収入が大幅アップでもしない限り、次にあなたの住宅を買ってくれる人の購入能力は下がってしまいます。同じ11万886円の支払いで2%のときは3000万円借りられても、5%では2050万円しか借りられません。
つまり、基本的に売り値を950万円下げなければ、あなたの住宅は売れないということなのです。引用:『マイホームの常識にだまされるな!』低金利は住宅の買いどき
金利上昇とともに賃金も上昇してくれれば良いのですが、今の時代、大幅な賃金上昇は難しいのが現状です。
住宅購入は住宅ローンを利用するのが一般的。
住宅ローンは、収入と支出のバランスで融資可能かどうかが判断されます。
収入に対して融資希望額(住宅購入価格)が高すぎれば、住宅ローン審査が通らないため、購入価格を見直さなければならない状況となります。
この需給バランスの関係で、住宅ローン低金利時代は不動産の価格が高くなり、高金利時代は、不動産の価格が安くなる傾向があります。
今は、住宅ローン金利が史上空前の低金利となっていますが、物件価格は上昇中。
日本経済新聞では、東京都の中古マンションは3年で3割近くも価格が上がっているようです。
中古マンションの在庫が膨らんでいる。東京都では10月の在庫が過去最多だった。新築マンションにつられて価格が高騰し、成約件数が伸び悩んでいる。買い主の慎重姿勢が強く、在庫の増加が値下げを促す可能性もある。
(中略)
東京カンテイ(東京・品川)がまとめた10月の中古マンション売り出し価格(70平方メートル換算)は3581万円と3年前に比べ3割近く高い。
住宅ローン金利だけでなく、住宅ローン控除などの税制優遇なども同様に、次の購入者が購入時にメリットを受けられなければ、その分、物件購入価格を下げる結果となることも、頭の片隅に入れておくようアドバイスが書かれていました。
今だけ、税制優遇!住宅ローン低金利!お得!と、目の前のキャンペーンに飛びついても、長期的視点で考えると、実際お得になるかどうかはわからない……ということですね。
小さな節約いフォーカスするのではなく、資産性や家計の資金計画などを、充分に検討して住宅購入すべきだな、と感じました。
この本のまえがき「はじめに」でも書かれているのですが、不動産業界は「ずっと、今が買い時!」と言い続けています。どんな状況であれば、不動産会社は不動産を売るのが仕事なので、お客様が買いたくなる理由を提示してきますよね……。
まとめ
不動産業界のセールストークについて、不動産のプロがわかりやすく解説されていて、とても読みやすい本でした。
80ものテーマを取扱っているので、1つ1つの解説はざっくりとしたものですが、家を買う時、借りる時に、参考になる考え方がたくさん書かれています。
「住宅購入」は、買うまでの準備が成功の鍵だと、思います。
物件選びを始める前に、このような不動産業界のことが客観的に知っていると、冷静に自分たちにとって本当に良い家を見つけることができるでしょう。
この本は、本格的に住宅購入に向けて動き出す前に読んでおきたいnicocha推薦図書です。
また、我が家のように賃貸派の方も、「こういうメリット・デメリットがあるんだ」と、これからの住み方を考えるヒントが得られると思うので、おすすめです。
以上、家を買いたくなったときの推薦図書『マイホームの常識にだまされるな!』の書評をお届けしました。
マイホーム購入を検討している方の参考になれば嬉しいです。
住宅取得時のおすすめ参考図書
慣れない不動産取引はわからないことばかり。
不動産業界のことが垣間見れる良書をご紹介します。
家を買う前に、不動産会社のことや営業マンの心理を知っておくと、巧みなセールストークも自分なりに解釈しやすくなると思います。
住宅ローンについて