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おとり広告とは?賃貸物件の広告に騙されないポイント3つ

<景品表示法に基づく表記>このサイトには記事に関連する広告・PRが表示されます

みなさん、おとり広告という言葉を聞いたことはありますか?

これから引越しシーズンでは、HOME’SやSUUMOなどでお部屋探しをする人も増えると思います。

インターネットでお部屋を探すときに、おとり広告に騙されないポイントをまとめました。

不動産屋に騙されて貴重な時間と労力を無駄にしないように、お部屋探しをする前にご覧くださいまし。

 

 

おとり広告とは

さっそくですが、おとり広告の「おとり」から調べてみました。

 

おとりとは

1)鳥・獣を誘いよせて捕えるために、つないでおく同類の鳥・獣。

2)誘いよせるために使う手段。 「景品を―にする」

 

まつだ
まぁ、そのままですね

 

不動産のおとり広告も同じで、おとり広告とはお客様を誘いよせるために使う手段です。

不動産屋さんの広告とは、インターネットに載っている物件情報や、店舗のチラシ、雑誌等の広告を言います。

 

デタラメな情報が蔓延したらお客様は大迷惑。正確な情報がわからないと比較検討することもできません。

このため、不動産取引においても細かな広告ルールが決められています。

 

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。
(1)物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
(2)物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
(3)物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

引用:不動産公正取引協議会「不動産の表示に関する公正競争規約」

 

このルールに違反する広告が「おとり広告」と呼ばれるものです。

もちろん、この規定に違反すると罰則があります。

しかしながら、おとり広告は不動産業界でも常態化していて、なかなか不正が減りません。

 

2008年には、大手仲介会社のエイブルさんが、おとり広告の違反で罰則を受けました。

不動産仲介のエイブルが、景品表示法違反で公正取引委員会から排除命令を受けた。公取は同社が自社サイトや情報提供先のCHINTAIが運営するサイトなどに架空物件や実際と異なる築年数を表示したとして、「おとり広告」などに当たると指摘。

引用:東洋経済オンライン「エイブルに排除命令 ネットでニセ物件情報」

 

まつだ
どんな広告なんだろう……

 

 

それでは、実際の広告例を見てみます。

おとり広告の例

実際におとり広告を見た方がイメージしやすいと思うので、さっそくご紹介していきます。

前述のとおり、おとり広告に該当するのは、

架空物件の場合、取引ができない物件、取引意思のない物件

 

それぞれ、どのように広告されるのか、違反事例をご紹介していきます。

 

1.架空物件の広告

【O社の事例】
対象広告:インターネット不動産情報サイト
対象物件:賃貸住宅

 

—–(掲載内容)—–

築2年マンション1K 21.84m2

内装リフォーム済

  おとり広告
家賃 63,000円
管理費 5,000円
合計 68,000円

↓  ↓  ↓ ↓

実際の物件情報

内装リフォーム実績なし

  実際の物件
家賃 73,000円
管理費 9,000円
合計 82,000円

事実:

この物件は、2012年7月20日に既に契約済の物件情報を基に、賃料を10,000円安くし、管理費も4,000円安くし、リフォームをした事実もないのに「内装リフォーム済」と記載する等の改ざんを行ったものであって、実際には存在しない架空物件である。このほか4物件を調査したが、いずれも契約済み物件を基に賃料等を改竄した架空物件であった

引用:平成24年度 首都圏不動産公正取引協議会 不動産広告違反事例

 

賃料管理費の合計金額の差は、なんと14,000円(!)

さすがに、14,000円も相場より安い物件は怪しすぎる……と思うのですが、相場感がわからない方は「お得!」と飛びついてしまうようです。

まつだ
すごいな……

ちなみに、この物件に問合せをしても、実在しないお部屋なので紹介してもらえるハズがありません。

 

お店に出向くと不動産会社のスタッフさんに、「このお部屋決まっちゃったんですよ~」など、適当にはぐらかされて、他のお部屋を紹介されます。

もちろん、問合せをした広告の物件よりも良い物件はありません。

架空条件で広告をしているので、市場相場とかけ離れた価格設定だったからです。

問合せをした物件と比べると、どれも見劣りするものの、「もう決めないと!」と、焦らされてこのまま別の物件にお申込みをされる方もいるようです。

 

まつだ
まさに、釣り物件だ

 

 

2.すでに契約済で取引できない物件を広告

【L社の事例】
対象広告:インターネット自社ホームページ
対象物件:賃貸住宅

 

—–(掲載内容)—–

木造 2階/2階建て 入居即時  1DK  23.79m2  賃料 75,000円 管理費 1,000円

 

事実:

この物件は、2009年10月10日に既に契約済みであって取引できないにもかかわらず、その概ね2年5か月後の2012年3月30日に新規に情報登録を行い同年4月9日まで継続して広告していたものである。

これらの物件のほか8物件を調査したが、いずれも契約済みで取引できない「おとり広告」であった。特に、このうちの3物件は、既に契約済みにかかわらず新規に情報登録を行ったものであった。

引用:平成24年度 首都圏不動産公正取引協議会 不動産広告違反事例

 

これは掲載内容に相違はないものの、すでに成約済みで契約することができない物件。これを知りながら広告掲載を行うとは、すごい度胸というか何というか……。

twitterでも、こんなつぶやきがありました。

 

 

 

3.取引意思のない物件を広告

【P社の事例】
対象広告:インターネット不動産情報サイト
対象物件:賃貸住宅

—–(掲載内容)—–
賃料5.9万円 管理費・共益費10000円

礼金5.9万円 敷金5.9万円 1K 20.72m2
マンション 築7年 5階/ 12階建 定期借家1年 貸主

 

事実:

この物件は、分譲マンションの1住戸をP社が所有者から借り上げ、転貸するものであるが、

①同じ建物内で同じ面積の他の住戸の募集賃料は、101,000円ないし104,000円(管理費は5,000円)であり、当該物件の賃料は著しく安いこと

②P社は所有者から86,000円の賃料で借り上げているにもかかわらず、27,000円も安い賃料を設定し広告
していること

③概ね2か月間広告を掲載しているが、この間、当該サイトの問い合わせフォームによる顧客からの問い合わせが253件と相当数の反響があるのに、成約に至っていないこと

④P社は、成約に至らない理由として「定期借家であるのに礼金を1か月必要であることと、従業員の数が少ないので顧客への対応が満足にできていなかったから。」等と説明したが、この説明に合理性があるとは認められないこと

以上4点を総合的に判断すると、この物件は、表示の条件で取引する意思のない「おとり広告」であると認められた。

なお、他の7物件も調査を行ったが、いずれも、当該物件と同様の内容であり、すべて取引する意思のないおとり広告であると認められた。

 

まつだ
253件の問合せ対応だけでも大変そうだ……

 

これは、所有者から部屋を借りあげ、それをさらに転貸するという形態。サブリース契約と呼ばれたりします。

今回の事例では、他のお部屋より、37,000円ほど値引きを行い広告掲載を実施。その結果、問合せが253件も来ているのに、1件も成約になっていない、という……。つまり、契約するつもりがない物件でした。

 

まつだ
もはや何がやりたいのだろうか……

 

おとり広告の特徴

おとり広告の特徴をまとめてみます。上記3例の特徴を整理すると、下記のような共通点があります。

条件が良すぎる

やはり賃料が安すぎます。

これは、HOME’SやSUUMOで気になるエリアの同じくらいの築年数、広さ、駅からの距離の物件で比較すると良いでしょう。10,000円以上安くなっていたら要注意。あとで紹介する「おとり広告の見分け方」を頭の片隅に入れながら、この不動産会社へ問い合わせをしてみましょう。

 

詳細が書かれていない

気になる物件があった場合は、自分でもいろいろと調べてみましょう。

物件名(〇〇マンションなど)があれば、物件名+所在地で検索してみます。

物件名がない場合は、賃料+所在地や、広さ(平米数)、地図情報などをヒントにgoogle先生に聞きまくります。

地図情報

なお、サイトによっては地図情報が入っていない場合があるので、その時は、マンション名がわかればgoogle mapでマンション名検索をしてみることをおススメします。

 

ちなみに、だいたいネット上では、〇〇区△△3丁目・・・2丁目・・・と、町名までしか書かれていないことが多いです。所在地の詳細を知りたい場合は、「この物件の枝番を教えて下さい」と、問合せをしてみましょう。

枝番とは、住所の詳細のことです。番地までわかれば、googleストリートビューなどで建物外観を確認可能。広告掲載されている外観写真の建物が見当たらなければ、その物件はおとり広告の可能性が高いです。

 

 

おとり広告の見分け方

おとり広告かどうかを完全に見分けることは難しいです。

実際に良い条件の物件が掲載されていることもありますし、本当に直前まで空いていたのに、お申込みが入ってしまう場合もあります。意図的に広告掲載の情報を操作していたら、もちろん悪質業者ですが、不動産会社も掲載広告の管理ばかりをやっている訳ではありません。

500件程度、広告掲載をすると、空室状況を確認できるのは、がんばって週1回程度だと思います。

お問合せいただいたお部屋も来店までに期間があれば、埋まってしまう場合も十分に考えられます(来店前に伝えてあげた方が良いと思いますが、基本的に来店を促す業者さんが多いようです)

 

それでは、お得な掘り出し物件なのか、おとり広告なのかの見分け方はどうしたらよいのでしょうか?

 

現地集合で内見ができるかどうか

これです。

現地集合で内見をさせてもらいましょう。

おとり広告の場合は、これが絶対できません。な

ぜなら、お部屋の契約ができない状態だからおとり広告と呼ばれるので、案内自体ができないハズです。

このあたりの詳しい様子は、ヨッピーさんの記事がわかりやすかったです。

 

■ 参照記事

不動産のオトリ物件にだまされた

 

この記事にも書かれていますが、現地待ち合わせをお願いして渋るようならアウト。

「オーナーさんとの決まりになっていまして……」「内見前にお客様情報を伝えなければいけなくて……」「内見の手続きが必要で……」など、いろいろと口実をつけて現地で待ち合わせを拒む不動産会社はやめましょう。

当社は、現地待合わせでお部屋をご案内させていただくことも多いですが、内見時にお客様の個人情報を伝えることはありません。

(職業や性別、ご年齢などはお伝えする場合もあります。←女性限定物件など)

 

 

おとり広告の相談窓口

あまり、お世話になりたくないですが、もしトラブルに巻き込まれたり、おとり広告で被害を被った場合は、消費者庁、不動産公正取引協議連合会で相談を受付けているようです。

 

消費者庁
http://www.caa.go.jp/index.html

不動産公正取引協議会連合会
http://www.rftc.jp/index.html

 

おとり広告で無駄な時間を使ったり、労力を消費することなく、お部屋探しを進めていきたいものですね。

これからお引越しをされる方は、ご注意ください。

 

今日もありがとうございました。